近隣諸国のクロアチア人
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クロアチア共和国以外にも、クロアチア人の民族は隣国や地理的に近い国々にも原住民として住んでいる。
最も多いのはボスニア・ヘルツェゴビナに居住するクロアチア人(2013年の調査では54万5千人で、1991年の調査では76万人)で、ボスニア・ヘルツェゴビナではボシュニャク人やセルビア人と並んで三つの構成民族の一つとなっている。ボスニア・ヘルツェゴビナの北部、南西部と中央部の一部では多数派を形成しており、また西ヘルツェゴビナは、クロアチア以外では最も均質なクロアチア人地域の一つである。



2番目に大きなクロアチア人少数民族はセルビアのヴォイヴォディナ州にある。そこで、クロアチア人はスボティツァとその周辺地域、そしてソンボルとノヴィ・サドで特に多い。2011年の人口調査によると、セルビアには5万8千人のクロアチア人が住んでいたが、一部のクロアチア出自の住民は地域の下位民族集団(ブニェヴァツ人やショカツ人など)に属していると自称したため、実際のクロアチア人の人数は10万人にも至る可能性があると考えられている。モンテネグロでは、クロアチア民族コミュニティ(6千人から1万人)がコトル湾を中心に定住している。コソボのヤニェヴォとレトニツァの村にはクロアチア人の民族コミュニティ(1,800人)が存在する。スロベニアには約4万人のクロアチア人が住んでおり、そのほとんどが大都市とクロアチアとの国境沿いの大きな集落に住んでいる。
他のクロアチアに近い国々において、最もよく知られているクロアチア人のコミュニティはオーストリアのブルゲンラント連邦州(クロアチア語でグラディシュチェという、約5万人のクロアチア人が住んでいる場所)にある。その人口は16世紀のクロアチア人移民の子孫である。グラディシュチェのクロアチア人は1955年にオーストリアの国家協定で特別な権利を保証されている。同様の民族下位集団は、スロバキア(4千人)とハンガリー(5万人)の近隣地域のクロアチア人も含む。ハンガリーでは、クロアチア人はハンガリー=クロアチア国境沿いと、ペーチ、モハーチ、バヤなどの町に定住している。イタリアではモリーゼ州に小規模(2千人)のクロアチアのコミュニティがあり、ルーマニアのバナトには6千人のクロアチア人がいくつかの村に住んでいる。これらのクロアチア人少数民族はすべて過去のより大きなコミュニティの遺産であり、今日ではその同化がかなり進んでいるため、クロアチア人、あるいはその子孫の人数に関する情報は大まかなものになる。