『ザグレブミサ典礼書』(1495年)のミニアチュールの詳細。このミサ典礼書は、18世紀の終わりまで使い続けられたザグレブ教会の地元の中世時代儀式に基づき、ラテン語で書かれている。

文化

太古の昔から中央ヨーロッパと地中海の文化圏の一部であり、まさしく西側文明が東と合流する地域にあったクロアチアの文化の豊かさは、今日においてもクロアチアがヨーロッパ文化の鍵となる時代と結びついていたことを証明している。その豊かさの最も明瞭な痕跡の中には、ユネスコの世界文化遺産リストに登録されているフヴァル島のスタリー・グラードにあり、今でも視認できる古代ギリシアの手つかずの区画化された平原、ローマ帝国のディオクレティアヌス皇帝の宮殿を含む古代スプリトの旧市街、ポレッチにある初期キリスト教のエウフラシウス聖堂、ロマネスク様式のトロギール旧市街、初期ルネサンスのシベニクの聖ヤコブ大聖堂、そしてルネサンスのドゥブロヴニク旧市街などがある。最高の芸術家と作家としてはクロアチア文学の父と呼ばれ、その作品がヨーロッパ中で読まれたマルコ・マルリッチ(1450年–1524年)、クロアチアのルネサンスの卓越した彫刻家であり建築家のユライ・ダルマティナッツ(15世紀)、ルネサンスの至高のミニアチュール画家のジュリオ・クローヴィオ(1498年–1578年)、クロアチア最初の交響曲作曲家のルカ・ソルコチェヴィッチ(1734年–1789年)、クロアチアのアンデルセンと呼ばれたイヴァナ・ブルリッチ=マジュラニッチ(1874年–1938年)、ロダンにより芸術家の中の偉大な天才といわれた彫刻家のイヴァン・メシュトロヴィッチ(1883年–1962年)、クロアチアの傑出したオペラ歌手ミルカ・トゥルニナ(1863年–1941年)、またクロアチアの百科事典の編集者で、20世紀最高のクロアチアの作家とみなされるミロスラヴ・クルレジャ(1893年–1981年)などを挙げるべきである。 最近のアーティストでは、オスカー賞の映画『シンドラーのリスト』と『グラディエーター』のプロデューサーブランコ・ラスティグ、そして超絶した技巧のピアニスト、イーヴォ・ポゴレリッチが際立っている。

クロアチア語は南スラヴ語群に属する。クロアチア共和国の公用語であり、欧州連合の公用語の一つでもある。ボスニア・ヘルツェゴヴィナ、セルビア(ヴォイヴォディナ)…

クロアチアの中世文学は3つの言語(ラテン語、古スラヴ語、現地語)と3つの文字(ラテン文字、グラゴル文字、キリル文字)で書かれた独特の文学で、8世紀から16世紀に、典礼的・宗教的なテーマに基づいた韻文…

クロアチアにおける演劇活動の起源は、西洋文明の他の国々と同様に、典礼言語による典礼劇にある。最古のものは、11世紀のザグレブ大聖堂の祭式書に保存されているラテン語劇『星の通り道(Tractus stellae)』…

クロアチアの教会音楽の二つの演奏法の共存は、中世ヨーロッパ文化において他に類を見ない。それはグレゴリオ聖歌(保存されている11世紀末のネウマという中世ヨーロッパの楽譜の写本)と、9世紀に…

クロアチアの地域では、先史時代の重要な痕跡、埋蔵地と古代ギリシア・ローマ文明の記念碑が保存され、それに関わった地域の人々の創造性がクロアチアの建築的、芸術的遺産を世界と同等の立場に…

専門的なクロアチアの映画製作の発展は20世紀半ばからであるが、クロアチアの地域を撮影した最初のフィルム記録は1898年に撮影会社ルミエールの撮影者アレクサンドル…

18世紀初頭にはすでに工芸品や装飾品(ストーブ、石製品、ガラス製品、陶磁器、家具)の工房が多くあった。1882年には建築家ヘルマン・ボレの功績により…

クロアチアにおける文化遺産の収集と保存の伝統は非常に古く、教会の宝物庫や個人の収蔵品として始まり、公的博物館の収蔵は1750年にスプリトで始まった。19世紀には芸術作品や多様な遺産を収集し展示する機関が設置された…